「この子、お友だちとうまくやっていけるかな」

娘が療育に通い始めたとき、真っ先に浮かんだのはその不安でした。

ASDの特性を持つ長女は、表情があまり豊かではなく、周りの空気を読むのが苦手です。悪気はゼロなのに、気づかないうちに相手を困らせてしまうことがある。それがわかっていたからこそ、小学校に入る前から「いじめ」という言葉が、頭の片隅に張り付いていました。

覚悟していたことが、少しずつ現実に近づいてくる感覚。あの緊張感、似たような思いをされた方いませんか?

療育を始めたとき、「いじめ」への覚悟が生まれた

療育の先生に教えてもらって知ったのですが、ASDの子どもがいじめを受ける割合は、定型発達の子どもと比べてかなり高いという研究データがあります。

理由を聞いて、「ああ、そうか」と腑に落ちました。

空気を読むのが難しい。相手の表情の変化に気づきにくい。感覚が過敏で、大きな声や刺激に強く反応してしまう。そういう特性が、周囲から「変わった子」に見られやすかったり、反応がわかりやすいことで標的にされやすかったりするようです。

うちの娘も、まさに当てはまることばかりでした。

療育を続けることで、できることはだいぶ増えました。でも「見た目は大丈夫そうに見えて、内心困っている」という特性は今も残っています。SOS を自分から出せないんです。それが一番心配でした。

「親が動きすぎ」って思われるかもしれない。でも——

年度が変わるたびに、担任の先生に娘の特性を説明しています。合理的配慮の資料を作って提出したり、支援会議に参加したり。

「これって、過保護なんじゃないか」と思う瞬間が正直あります。

子どもが自分でトラブルを乗り越えることも大事。親が先回りしすぎると、本人の成長機会を奪ってしまう。それも、わかっているんです。

でも。

いじめは、気づいたときにはもう深刻になっていることが多い

特に娘のように「自分がつらいことを言葉にするのが難しい」子の場合、待っていたら取り返しのつかない状況になる可能性がある。だから私は、先手を打つことを選んでいます。介入がすべて正解とは思っていないけれど、「やらなかった後悔」より「やった後悔」を選ぼうと。

娘の話は、全部が全部「正確」じゃない

「今日ね、○○ちゃんにひどいことされた」

娘がそう言ったとき、私はすぐに信じるのではなく、まず話を整理するようにしています。

ASDの特性のひとつに、出来事を時系列で説明するのが難しいことがあります。「何がどうなった」ではなく、自分の感情が先に出てきてしまう。「ひどいことをされた」という強い感情は本物でも、実際に起きたことは少し違う、ということも少なくありません。

だからといって、「それはあなたの勘違い」とは言いたくない。

娘が「嫌だ」「怖かった」と感じたこと、それ自体は本当のことだから。

大切にしたいのは、「あなたの気持ちは正しい。でも何が起きたか、一緒に整理しよう」という姿勢です。感情と事実を分けて、ゆっくり話す。これが一番難しくて、一番大切なことだと今は思っています。

一人で抱え込まず、いろんな人に聞いてきた

正直、自分だけでは答えが出ないことばかりです。

療育の先生、学校のカウンセラー、担任の先生、同じくASDのお子さんを持つ親御さん……いろんな人からアドバイスをもらいながら、少しずつ「うちの娘に合ったやり方」を作ってきました。

印象に残っているのは、療育の先生に言われた一言。

「娘さんがSOSを出せないのは、SOSを出していい環境だと知らないからかもしれない」

その言葉から、「助けてって言っていいんだよ」「嫌なことは嫌って言っていいんだよ」を、意識的に日常の会話の中に入れるようになりました。大げさなことじゃなくて、「今日どうだった?」の延長で。

すぐに変わるわけじゃないけれど、こつこつ続けることが大事なんだと思っています。

ASDだからこそ、丁寧に向き合う必要がある

いじめのリスクがゼロにはならない。それは現実として受け止めています。

でも、できることはあります。

先生に特性を伝えること。子どもが「嫌だ」と言いやすい空気を家庭に作ること。話が噛み合わないときも、焦らずゆっくり整理すること。

完璧な親じゃなくていい。ただ、娘の言葉と気持ちを、丁寧に受け取り続けること。それだけは、ずっとやめないでいようと思っています。

もし同じような不安を抱えているお母さんがいたら、一人で抱え込まないでほしいと思います。周りに話せる人を見つけることが、きっとどんな対策より先に必要なことだから。

皆さんは、学校や療育機関との連携で、どんな工夫をしていますか?「うちはこうしてる」ということがあれば、ぜひコメント欄で教えてください。一緒に考えていけたら嬉しいです。

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