突然静かになって、その場にしゃがみ込む。
声をかけても反応がない。何があったか聞いても、首を振るだけ。
「また、始まった……」
長女がまだ保育園に通っていた頃、週に何度かこんな瞬間がありました。
じつは今、ようやくその「理由」がわかるようになってきました。
当時は本当に、何もできなかった
長女がASDと診断されたのは、4歳のころです。
ただ、「診断がついた」からといって、すぐに何かがわかるわけじゃない。
特に、突然崩れる瞬間の「なぜ?」は、長い時間をかけないとわかりませんでした。
保育園の年長のころ、崩れる頻度がぐっと上がった時期がありました。
帰宅してから「今日どうだった?」と聞いても、うまく説明できないことが多い。
保育士さんに聞くと、「お友達とのやり取りで何かあったようで…」とは教えてもらえるのですが、何が決定打になったのかが、そのときはよく見えませんでした。
毎回、理由がわからないまま、ただ隣に座っているしかなかったんです。
楽しみにしていた日に、崩れた
印象に残っているのが、保育園の「お祭りごっこ」の日のことです。
長女はその日を楽しみにしていて、朝から嬉しそうでした。
でも帰宅すると、泣き崩れてベッドに倒れ込んだんです。
後で聞いてわかったのは、お店屋さんごっこで列に並んでいたら、クラスの子が横入りしてきたこと。
「そこに並んでないんだから、横入りはやめて」と言い返したら、「変なことを言ってる」と低い声で言われたそうです。
長女の言い分は正しかった。保育士さんもそう認めていました。
でも、「言葉が届かなかった」という事実が、長女の中でずっと残り続けていたんだと思います。
楽しみにしていた日だったから、余計だったのかもしれない。
それを知って、なんだか胸がぎゅっとなりました。
記録してみたら、パターンが見えてきた
崩れる頻度が増えてきた頃、療育でお世話になっている先生から「できるだけ記録してみてください」と言われました。
正直、最初は「何を書けばいいのか」も分からなかったです。
でも「いつ、どんな場面で、何がきっかけになったか」をメモするようにしていくと、半年後くらいに、あることに気づきました。
崩れるエピソードのほとんどに、2つの共通点がありました。
ひとつは、誰かが急に大きな声を出したり、突然怒り始めること。
もうひとつは、自分が正しいと思っていることを、聞き入れてもらえないこと。
「わがまま」に見えていた行動が、じつは脳が処理しきれないほどのストレスを受けたときの反応だったんです。
それがわかったとき、「長女は困った子じゃなく、困っていた子だったんだ」と、はっきり思いました。
「わかる」と、関わり方が変わる
パターンがわかると、事前に手を打てることが増えてきます。
人が多い場所や、予想外の展開が起きやすいイベントの前には、「もし嫌なことがあったら、そっと教えてね」と一言だけ伝えておく。
崩れた後は、原因を追うより先に、そっと寄り添うことを優先する。
抱きしめてあげると、5分もしないうちに落ち着いていくことが多かった。
この「5分」を知っているだけで、私の焦りがだいぶ減りました。
崩れている娘のそばで、私も一緒にパニックにならずにいられるようになったんです。
記録は、続けるほど精度が上がる
最初はGoogle Keepにメモしていました。
「今日こんなことがあった」「こう対応した」、気になることをとにかく書き込んでいく。それ自体は続いたのですが、記録がバラバラで、あとから「あのとき何があったっけ」と探すのがとても大変でした。
量は増えるのに、使えない。そのもどかしさがあって、LINEに送ると自動でスプレッドシートに記録されるしくみに切り替えました。
「何があったか」「どう対応したか」の2つだけ。それ以上は書かなくていい設計にしてから、抜けなく続くようになりました。
そしてたまりにたまった記録を整理して、AIに分析してもらうと、気づかなかった傾向が見えてきます。
試してみたとき、「夏から秋にかけて、特にイベントの前後に頻度が上がっている」という傾向が出てきました。言われてみれば確かにそうで、行事の前の"楽しみ"と"緊張"が重なっているときが、一番崩れやすかったんです。自分では気づかないまま何年も過ごしていたと思うと、整理して本当によかったと感じました。
「この月、崩れが多いな」「最近このパターンが減ってる」、そんな変化が見えると、「あ、長女、成長してる」と実感できる瞬間が増えてきました。
ノートでも、スマホのメモでも、一行でいい。続けるうちに、見えてくるものがあります。
おわりに
「突然崩れる」ことに、しばらくの間、毎回驚いていました。
でも記録して振り返ると、突然じゃなかった。必ず何か、理由があった。
それに気づけたのは、5年間、ぼちぼちと記録を続けてきたからだと思います。
「うちの子、なんで崩れるんだろう」と悩んでいるかたに、記録することをひとつ、おすすめしたいです。
同じような無力感を感じているかたの力になれたら、と思い、記録のしくみづくりをCoconalaでもご相談できるようにしています。これまでも複数のご家庭に導入してきた経験がありますので、「ITが苦手で…」という方でも、設定から使い方まで一緒にフォローします。
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