子どもの成長記録、つけたほうがいいのはわかってます。でも、なかなか続かないですよね……整理できない、面談の前になってもうまく使えない。そういうこと、ありませんか?
カウンセラーや支援機関の方が「記録してください」とくり返すのには、ちゃんと理由があります。記録があると、面談での話が格段に具体的になる。支援の精度が上がる。子ども本人の特性が、時間をかけて見えてくる。
でも、そうとわかっていても続けられない。続けても整理できない。私も、そのまさに一人でした。
長女にASDの診断がついたのは4歳のころ。それから7年近く、会うたびに言われてきました。「日常の様子を記録しておくと、面談のときに話が具体的になりますよ」と。
記録は「あった」。でもバラバラだった
「記録する」と「使える記録を持つ」は、全然別の話です。
メモが数件なら探せる。でも何百件も積み重なると、必要なときに「どこに書いたっけ」となってしまう。整理しようとしても、どこから手をつけていいかわからなくて、結局そのまま閉じてしまう。そういう状態のメモ、手元にありませんか?
実は、記録がゼロだったわけじゃないんです。
専用ノート、メモアプリ、育児日記アプリ……いろいろ試した末に、最終的にGoogle Keepに落ち着きました。気づいたことをその場で音声入力して、タグをつけて保存する。これが一番ハードルが低かったから、なんとか続けられたんです。
でも、続いただけだったんですよね。
「今日、学校で揉めた」「癇癪。原因不明」「給食完食できた」
700件近いメモが、時系列もテーマも関係なく積み重なっているだけ。面談の前夜に「さあ整理しよう」と開くたびに、どこから手をつけていいかわからなくて、結局そのまま閉じてしまいました。
何度やったかわからない。「今日は疲れてるから明日やろう」と思って、明日が来たら来たで「また今度でいいか」になる。
それが5年以上続いたんです。

ある面談での、正直な記憶
面談で「最近、どんな様子ですか?」と聞かれて、うまく話せなかった経験、ありませんか?
記録はある。見てもいる。でも、いざ話そうとすると言葉がバラバラになって、伝えたいことが伝えられない。整理されていない記録って、頭の中でも整理できていないんですよね。
私も、そうでした。
長女が小学校に上がって数年経った頃のこと。担当のカウンセラーとの面談で、「最近、どんな様子ですか?」と聞かれました。
「えーっと、学校でお友達と揉めて……あと、給食のことで……」
自分でも、話がぐちゃぐちゃだとわかりました。時系列もバラバラ。何が重要なのかも整理できていない。担当のカウンセラーは優しくうなずきながら聞いてくれたんですが、「情報が足りない」と思っているだろうなと、なんとなく感じていました。
面談が終わって、帰り道に一人でぼーっとしながら。
「私、長女のこと、ちゃんと見てるのに。700件のメモもあるのに。なんでこんなに伝えられないんだろう」
その夜、夫に話しました。
「記録はあるんだけど、整理できてなくてどうにもならない」
「何が一番困ってるの?」
「メモが700件あるのに、面談前に使えない。どこに何が書いてあるか探せない」
「じゃあ、まず整理するところから始めよう」
夫がAIにはまり始めた、ちょうどいいタイミング
そのころ、夫がAI・GAS・Pythonを弄り倒すようになっていました。
「最近こういうことが自動でできるんだよ」「Claudeに投げたら一瞬で終わった」
まーたやってる、あの人(笑)。毎週のように新しいことを試しているんです。最初は「もっとこっちの役に立つことやってよ」と冷ややかに見ていたんですが、記録の整理に困り果てている話をしたら、なぜか急に食いついてきた。もっと積極的に協力しろーー、と思っていたら、思いのほか協力的でした。
最初にやったことは、拍子抜けするほど簡単でした。
Google KeepのデータをエクスポートしてCSVにする。それをまるごとClaudeに渡して、「長女のASD関連の記録です。テーマ別・時系列で整理してください」と頼んだだけです。
30分もかかりませんでした。
700件のバラバラなメモが、「友達関係のトラブル」「食事・感覚の問題」「学校でのパニック場面」「良かった出来事」といったカテゴリに整理されて、時系列で並び直されて返ってきたんです。
「……これ、7年分じゃん」
声に出してしまいました。夫が隣で画面を見ながら「うん」とだけ言って。
長女が癇癪を起こしていた保育園の頃のこと、小1のときに友達関係で崩れていた時期のこと、そういうのが全部並んでいました。ずっとそこにあったのに、700件のメモの中に埋まっていて見えていなかっただけで。
なんか、ちょっと泣きそうになりました。

もし手元に、同じように眠ったままのメモがある方は、一度やってみてほしいと思います。
次のステップ:LINEとGASをつなぐ
過去の記録が整理できたところで、夫が「今後の記録の仕組みも変えよう」と言ってきました。
作ってくれたのは、LINEとGAS(Googleが無料で使えるプログラム)をつなぐ仕組みです。
専用のLINEグループに、気になったことをそのまま送信する。それだけ。あとは自動で、Googleスプレッドシートに日付・内容・子どもの名前が整理されて記録されます。
以前のKeepとの違いは、蓄積された記録をそのままClaudeに読み込ませやすい形になっていること。
使い始めて数ヶ月後、ためた記録をClaudeに渡してみました。
「これは長女(小学校高学年・ASD)の最近の記録です。気になるパターンや傾向があれば教えてください」
返ってきた内容に、少しどきっとしました。
「月曜日と金曜日に気になる様子(癇癪、食事拒否、体調不良の申告)が集中しているように見えます。週の始まりと終わりに疲れやストレスが出やすい可能性があります。また、行事の前後に不安定な日が多い傾向も見られます」
月曜日と金曜日。言われてみればそうだった。でも毎日目の前にいると、その「波」に自分では気づけていませんでした。
そういえば、月曜の朝は必ず「行きたくない」から始まる気がする。金曜の帰りはいつも顔が疲れ果てている。全部バラバラの「今日のこと」として流していたものが、Claudeの指摘でつながりました。
さらに聞いてみました。
「月曜と金曜に不安定になりやすいとしたら、家庭でできる対策はありますか?」
「週明けと週末は特に、見通しを立てやすくするルーティンが有効なことが多いです。たとえば日曜の夜に翌週の予定を一緒に確認する、金曜の帰宅後に『今週頑張ったこと』を話す場を作るなど、切り替えのタイミングを意識した関わりが助けになる場合があります」
「見通しを立てやすくする」は、担当のカウンセラーにも何度か言われていたことでした。カウンセラーや先生から受け取ったアドバイスの中で、「言われたけど、なんとなくピンとこなかった」ものはありませんか?記録とつなげると、急に立体的に見えてくる瞬間があります。私がまさにそれでした。
面談の準備が変わった
面談の前って、どうやって準備していますか?
「気になることをざっと思い出す」「メモを見返す」——でも直前になって「何から話せばいいんだろう」と焦ることも多いと思います。記録があっても、それを「整理して話す」のがまた一手間なんですよね。
それからは、面談の前夜にClaudeを使うようになりました。
「来週、担当のカウンセラーとの面談があります。最近2週間のこの記録から、先生に伝えるべき重要なポイントを整理してください。また、確認しておくといい質問も考えてもらえますか?」
10分もあれば、「話すべきこと」と「聞くべきこと」のリストが出てきます。
以前は面談に行って、「えーっと……」からスタートしていました。今は、手元にリストがある。先生との時間が、まるで変わったんです。
ある面談で、担当のカウンセラーに言われた言葉があります。
「最近、すごく具体的に話してくれますね。観察が丁寧になりましたよね」
観察が丁寧になったわけじゃないと思います。記録が整理されたから、伝えられるようになっただけです。
でも、この言葉がうれしかったんですよ。なんか、ようやく、という感じで。
面談で「あのとき、どうでしたか?」と聞かれたとき、以前は「えーっと……」と記憶をたどって、「違うかも」と不安になりながら話していました。今は「ちょっと確認します」と言ってスプレッドシートを開ける。これが意外なほど落ち着くんです。
記録は「この子の取扱説明書」になる
発達凸凹の子を育てていると、「この子のことをゼロから説明する」場面が何度も出てきます。
担任の先生が毎年変わるたびに。新しい支援機関につながるたびに。「うちの子はこういう特性があって、こういう場面で崩れやすくて、こういう対応が効果的です」を毎回伝えなければならない。それって、かなりの負担だと思いませんか?
記録が積み重なると、これが変わります。
長女は今、小学6年生。担任の先生は毎年変わります。記録があれば、Claudeで「今年の担任の先生に伝えるべきポイントをまとめて」と頼むだけで、引き継ぎ資料ができます。先生の反応が変わりました。「こんなに詳しくまとめてくださったんですね」と言ってくれた先生がいて。
将来、長女が就職活動をするとき。支援機関を使うとき。自分の特性を自分で説明する必要が出てきたとき。積み重なった記録は、「この子がどんな子か」を証明する資料になります。
なんか、そう思ったら急に「続けよう」という気持ちになったんです。義務感じゃなくて。
正直に言うと、次女の記録はまだ追いついていない
次女も発達凸凹で、こちらはまだ記録が断片的です。長女のシステムがあるのに、なぜか次女の分だけ抜けることがある。「2人分ちゃんとやらなきゃ」と思うと、また重くなる。これは今も解決していません。
でも、「記録がゼロだった頃より100倍マシ」とは思っています。
完璧じゃなくていい。LINEに1行送るだけでいい。それが積み重なると、2ヶ月後に「あの頃のうちの子は、こういう状態だったんだ」とわかる日が来ます。
参考:うちが今やっていること
箇条書きにすると冷たく見えるけど、実態はこんな感じです。
まず過去のKeepの記録はエクスポートしてClaudeに投げました。一回やればいい作業でした。
新しい記録はLINEに送るだけ。夫がGASで自動的にスプレッドシートに入る仕組みを作ってくれました。「給食の筑前煮が嫌で泣いた」「玄関で靴を投げて5分動かなかった」、そういう泥臭いメモでいい。綺麗な記録じゃなくていい。そのまま送るだけです。
月に1〜2回、その記録をClaudeに読み込ませてパターンを確認する。面談の前夜には「伝えるべきこと・聞くべきこと」を整理してもらう。
やること自体は多くないです。続けられている理由だと思っています。
次回は、面談でClaudeを使うとき、実際にどんな質問の仕方をしているか、もう少し具体的に書こうと思います。
もし「うちも記録が続かなくて…」とお悩みの方がいたら、LINEの仕組み作りからお手伝いできます。記録の整理やAIを使った面談準備のやり方など、個別のご相談もCoconalaで受け付けています。お気軽に声をかけてもらえるとうれしいです。
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